【緊急レスキューレポ】飼い主が孤独死!犬が取り残された現場から保護までの実録

犬の保護ボランティア活動

孤独死。

それは、人生の終わりを誰にも看取られる事なく、ひっそりと自宅などで迎える事で、現代の日本では、年間およそ3万人もの人が孤独死しているというデータがあります。

そしてそんな孤独死の現場で、取り残される犬や猫などのペットがたくさんいます。

これは、私の参加する犬猫保護団体、ドッグレスキューHUG(ハグ)が、飼い主の孤独死によって取り残された犬のレスキュー要請を受け、保護するまでの実録です。

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飼い主が孤独死!犬が取り残された現場へ

始まりは、私が参加するボランティア団体、ドッグレスキューHUG(ハグ)に届いた一通のメールでした。

アパートの向かいに住んでいたおじいさんが亡くなり、その部屋に犬が取り残されている、という内容。

通報をくれた女性によると、管理会社の人が一週間に一度ほど、餌と水を与えに来ているものの、すでに1ヶ月以上が経っているとの事で、私が現場へ向かいました。

そのアパートに着くと、部屋の中から、絶え間ない犬の鳴き声が聞こえてきました。

立ち会ってくれた管理会社の方に鍵を開けてもらい、すぐに中へ入りました。

1Kのそのアパートの中にいたのは、ブラックタンの小さなチワワの男の子。

餌も水も空っぽで、室内には糞尿のにおいが充満していました。

そしてその子は、突然入ってきた見知らぬ私たちに、部屋の隅から必死に吠えていました。

当団体にメールをくれた向かいの部屋の女性も心配して出て来て下さり、話を聞く事が出来ました。

その女性によると、飼い主の方は、70代くらいの男性で、いつも愛犬を抱っこして、散歩に出かけるのが日課だったそうです。

女性が引っ越してきた時にゴミの出し方などを教えてくれ、その時から挨拶をする間柄だったそうですが、ここ最近姿を見なくなり、郵便物がポストに溜まっているのをみて、飼い主の男性に何かあったのでは、と気付いてくださったのです。

そして、警察が入るまでの間、このチワワはずっと、動かなくなった飼い主のおじいさんの亡骸と、ずっと過ごしていたのです。

毎日散歩に行ったりご飯をくれたり遊んでくれた大好きな飼い主さんが、突然動かなくなってしまった….この子にはきっと、理解が出来なかったと思います。

そしてそのうち、知らない人間がどたばた入って来て、飼い主さんは連れて行かれてしまった。

それ以来、管理会社の人が週に一度お世話にくる以外、ずっとずっと、たった一匹で、暗い部屋の中で耐えていたのです。

私たちが部屋に入った時、管理会社の人が部屋に敷いてくれたであろうペットシーツには、山のようになった糞と、大量のおしっこがしてありました。

※一部、画像処理をしています

飼い主さんのしつけ通りに、この子はちゃんと、ひとりぼっちになっても、シーツで用を足していたのです。

部屋の様子から、飼い主さんが几帳面で、愛犬を大切にしていた事が伝わってきました。

部屋は整頓されていて、愛犬のおもちゃは箱の中にまとめられ、棚の上には、以前に飼っていたであろうダックスフンドの写真と骨壺がありました。

飼い主さんにとって、愛犬は、子供のような孫のような存在だったのだと思います。

大変切ない現場でした。

ゴミ箱の中には、たくさんの薬のゴミがありました。持病があり、日常的に薬を飲んでいたようでした。

飼い主が孤独死!取り残された犬を保護し病院へ

チワワは、当然ながら私たちを警戒してなかなか触らせてくれず、手を伸ばすと、ううう…と威嚇をして後退りをし、触ろうとすると、必死に噛み付いてきました。

30分ほど落ち着かせようと試みましたが、メディカルチェックのために予約している病院の診察時刻が迫っていたため、毛布で包むように捕まえ、キャリーケースへ入れました。

管理会社の方の許可を得て、犬用おもちゃと、飼い主さんが以前飼っていた子であろう犬の写真を、大切な愛犬と一緒に引き取りました。

身寄りのない飼い主さんの所有物はこの後、管理会社によって全て処分される事になります。

その後チワワくんは、当団体に協力してくださっている病院にてメディカルチェック。

肝臓の数値があまり良くなく、落ち着いたら再検査、との事でしたが、フィラリアは陰性!

やはり、飼い主さんはしっかりとこの子を大切にしてくれていたのです。

保護した犬のその後

身寄りのない飼い主さんが亡くなりアパートに取り残されたチワワの男の子。

一時預かりをしてくれる人のおうちへ行った後も、その日はかなり噛みがあったそうですが、翌日には落ち着き、甘えてくれるようになりました。

今まで飼い主さんからたくさんの愛情をもらっていた子なので、人慣れは早いと思います。

そして、不明だったこの子の名前も判明!

一時預かりの方が、アパートの近くの動物病院へ問い合わせをしてくれたところ、この子のかかりつけだった病院が見つかり、名前を教えてくれました。

とても男の子らしい、素敵な名前でした。

通常、遺棄や迷子の犬を引き取るケースだと、名前が分からないので団体が名前を付けます。

また、飼い主の飼育放棄やレスキューなどのケースでは名前は分かりますが、それまで虐待を受けてきて、犬にとってはその名前には嫌な思い出しかないので、今までの名前は捨て、私たちが新たな名前を付けます。

しかし今回のチワワくんの名前は、飼い主さんの愛情が詰まったもの。

今までと同じ名前で呼びたいという思いがあったので、判明して良かったです。

犬や猫、ペットの命を守るために私たちが出来る事

今回のケースは、飼い主さんが日頃から、向かいの住人の方とコミュニケーションを取っていた事、また、お向かいの方も、飼い主さんを気にかけていてくれた事が幸いでした。

これは、そのお向かいの方からいただいた、犬のおやつです。朝現場へ行くと、温かなメッセージとともにドアノブにかけて下さっていました。

今の日本には、身寄りのない方が突然死し、誰にも気づかれないまま、取り残された犬や猫が餓死するという痛ましい事が日常的に起こっています。

孤独死だけではない、犬や猫たちの悲惨な現状

犬や猫たちペットが悲惨な状況に追い込まれるのは、身寄りのない飼い主さんが亡くなったケースに限った事ではありません。

たとえ家族がいても、飼い主さんが亡くなった後、周囲の親族の引き取り拒否により、行き場のなくなった犬や猫が保健所に持ち込まれるケースも多いです。

さらに、飼い主死亡の場合でなくとも、引っ越しや海外転勤などの理由でペットを飼えなくなったからと、親に譲った後、結局親が面倒を見切れず、保健所に持ち込むケースもあります。

また悲惨なのは、保健所に持ち込まれ殺処分になる犬猫だけではありません。

子供に半ば無理やりペットを押し付けられた親たち、または親が亡くなり仕方なくペットを引き取った子供夫婦などが、ネグレクト状態となり、「飼い殺し」状態の中ただ生かされているかわいそうな犬や猫たちもたくさんいます。

詳しくはドッグレスキューHUGの過去の記事をお読みください↓

ケース1. 飼育放棄されたトイプードル

ケース2. 安楽死なんてさせない!!(飼い主痴呆により親族にネグレクトされたミニチュアダックスフンド)

 

飼い主亡き後も犬や猫たちペットの幸せを守るために 私たちが出来る事

不幸な命を生まないために私たち飼い主が出来る事、犬猫保護ボランティアをする中で思う事をまとめました。

自分が万が一飼えなくなった時に頼める人を見つけておく

万が一ペットを飼えなくなった時、終生の世話を頼める人を見つけておく….これは、身寄りのない人の場合だけではありません。

飼い主死亡以外のよくあるケースは、

  • 転勤
  • 引越し
  • 子供が産まれた
  • アレルギーが発症した
  • 飼い主の認知症

などです。

どれも、ペットを飼う前にある程度予想のつく事だと思います。

信頼のおける預かり先を見つけておく事は必須です。

いざとなったら親にお願いすればいい、などという曖昧なものはダメです。

結果、その親が面倒を見切れず、ペットが殺処分、またはネグレクトや虐待となるケースが多くあるからです。

正しいしつけをする

「飼ってみたら、思ってたのと違った」という理由で保健所に持ち込む飼い主がいます。

鳴き声がうるさい、噛み付く、そこらじゅうでウンチをする…など、「こんなバカ犬は要らない」と言うのです。

しかしこれは、飼い主がしっかりとしつけをしてこなかった代償です。

言葉は悪いですが、バカなのは犬ではなく飼い主だと思います。

手に負えない犬にさせないために、きちんと正しいしつけを勉強するのは、飼い主の義務だと思います。

犬は、時間をかけて正しい方法で教えれば、分かってくれる賢い生き物です。どれだけの時間をその犬に費やせるか、です。

近所の人に関心を持つ

これは、飼い主側ではなく、その周りの方たちにしていただきたい事ですが、ご近所の人と日頃からコミュニケーションを取り、関心を持って欲しいと思います。

今回、飼い主が孤独死したチワワのケースでは、向かいの住人の女性の通報が、飼い主の遺体の発見に繋がり、また、犬の命をも救う事が出来ました。

日頃から、近所の人に関心を持って、挨拶をしたり声かけをしていれば、いざという時の異変の早期発見に繋がります。

そして最後に、日本の犬の悲惨な現状がとてもよく分かる本をご紹介します。

これは今回ご紹介した、飼い主が孤独死するケースとは違い、犬が年老いて老犬となった時にたどる、悲惨な現状が書かれています。

この本の最後に書かれた、「老犬たちのいのちとこころを守り、救うために私たちにできる14のこと」という部分は、老犬だけではなく、すべての犬たちのいのちとこころを守るために大切な事柄です。

ぜひ、読んでみてください。

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