愛犬が噛みつく、とお悩みの方、いらっしゃると思います。
我が家では、保護犬を預かり始めてちょうど1か月目、問題は突然発生しました。
夜、帰宅した主人に突然噛みついた、保護犬ミニチュアダックスフンドのレイ君。
突然の噛みつき行動に、家族一同驚き、戸惑いました。
その日から毎夜、主人が帰宅する度に隙あらば噛んでやるぞ!と完全に戦闘体勢を見せるレイ君に、家族で試行錯誤しながら向き合う日々を綴っています。
突然噛みついた 保護犬ミニチュアダックスフンド
レイは、推定10歳のミニチュアダックスフンドのオス。
愛知県内の動物保護管理センター(保健所)に約1か月間収容された後、我が家にやって来ましたが、センターでは一切噛む行為は見られかったとの事。
また、その後うちに来てからの1か月間は、全く主人を噛むそぶりは見せませんでした。
主人は仕事で家にいる時間が少ないため、触れ合う時間はほとんどありませんでしたが、レイは積極的に甘えには行かないものの、近くへ寄っていく事もあり、普通に触れていました。
ところがある夜、いつものように主人が帰宅してリビングへ入ってきた所、突然脚にガブリと噛みついたのです。
ズボンを履いていたため、歯形が付く程度で済みましたが、けたたましく吠えながら、本気で噛みに来ました。
我が家の家族構成は、
主人・私・娘(11歳と9歳)・ミックス犬(1歳♀)・ブリュッセルグリフォン(2歳♀)の、人間4人と犬2匹。
ここにミニチュアダックスフンドのレイ君が加わりました。
家族揃って犬好きで、主人は犬の扱いには慣れており、今まで犬に懐かれる事ばかりで、噛まれた事は初めて。
うちの犬達も、主人にはよく懐いていて、特にミックス犬のリスベットは、主人にべったりです。
↓月に一度のワンちゃんへのプレゼントに
それなのに何故…
娘達もショックを受けていました。
私たち家族にとって、保護犬を預かるのは初めての経験で、まして犬に噛まれる事も初めてだったので、どうして良いか分からず悩みました。
ミニチュアダックスフンドのレイ君、センター収容時の情報では、
- 他犬興味なし
- 人興味なし
- 噛みなし
との事でした。
実際うちに来てから2週間ほどは、散歩の時に他の犬や人と出会っても、レイは興味なしでした。
そんなレイに変化が見られ始めたのは、2週間を過ぎたあたりから。
散歩中、他の犬と出会うと吠えるようになり、近付くと噛むようなそぶりを見せるようになってきました。
また、うちへ来た直後は来客も平気だったのに、他犬への攻撃性が出始めた同じ時期、娘の友達がうちへ遊びに来た時に噛みに行こうとするようになってきました。
そして1か月後には、ついに主人への噛みつきが発生。
現在では、
- 私と娘2人には従順で、べったりの甘えん坊。
- 先住犬2匹に対しても自分が下とわきまえている感じで何をしても怒らない。
- 散歩中に他犬と出会うと吠えて噛みつこうとする。
- 主人に対して噛みつこうとする。
- 突然入ってきた来客に噛みつこうとする。
と、当初とはかなり変わってきたのです。
私や小学生の娘達に対しては、それはそれは甘えん坊で、とにかくべったり。
ずっと人間とくっついていたい!という程の人懐こさなのに、主人に対してはとにかく吠える、噛む…。
私たちといる時とは、表情が一変するのです。
なんとかしようと、みんなで思い付く事を色々試してみました。
- 大きな声で「ダメ!」と叱る
- 別室に移動させ落ち着かせる
- 主人から優しく声をかける
- 先住犬たちが主人と遊んでいるところを見せて安心してもらう
結果は、全て効果なし。
レイは、日常生活の中では「ダメ」という言葉自体ちゃんと理解しているのですが、この時ばかりは興奮状態で、ダメ!の声にますますヒートアップ。
別室に連れて行くと一旦は落ち着くものの、それでリセットされる訳ではなく、リビングへ戻れば即興奮状態に。
主人の声かけも全く耳に入らない状態で吠えまくり、先住犬と主人が遊んでいるのはかえって逆効果。
先住犬が「遊んで!」と主人に飛びついた途端に攻撃スイッチが入り、一層激しく吠えるように…。
ちなみに、子供達が主人と触れ合っても、レイの攻撃スイッチがonになってしまう事から、どうやらレイは、先住犬達や子供達を、(レイの中では悪い人、と間違ってインプットされている)主人から守ろうとしているのかも?という結論に至りました。
ただ、そもそも、何故主人がレイの中で悪い人間、と認識されてしまったのかが分かりませんでした。
例えば、主人が初めて噛まれた日、偶然主人の脚がレイに当たってしまって攻撃されたと勘違いした、など、思い当たる事はありませんでした。
犬は人間の感情を読む
その後3週間ほどは、主人は噛まれそうになる度、反射的に「怖い!」と逃げ、私たちが必死でレイを押さえる、という日々でした。
そんなある日、犬の生態について書かれた記事の中に、「犬は人間の感情を読む」という一文を見つけました。
犬は、相手が怖がっている感情を読み取って攻撃する、との事。
確かに、レイが主人に向かって攻撃的に吠え始めた時、主人が後ずさりをした途端にガブリと行っていた事に気付きました。
そこで、レイの攻撃に備えてブランケットで脚をガード。攻撃体勢に入り吠えかかってきても、恐怖心を捨てて一歩も引かないようしてみることに。
するとレイは、相変わらず吠え続けるものの、そこから噛みつき行動には発展しませんでした。
こちらが怖がるとヒートアップする事に気付き、まずは、怖がるそぶりを見せない事で、噛まれる事を回避しました。
それにより幾分改善しましたが、とはいえ主人が気を抜くと、ガブリと来ます。
どうやったら、主人は怖くないんだと認識してもらえるのか…
参加している保護犬ボランティアに相談したところ、旦那さんとレイが2人きりで過ごす時間を作って、触れ合い、信頼関係を作るべし、との事。
ただ、触れ合おうにも、レイにその気は皆無。とても2人で散歩へ行ける状態ではありません。
思い切って 主人とレイの2人きりに
そこで、
「まずは部屋でレイと2人きりになってみる」
と主人。
レイが攻撃体勢に入っても止める人がいない状態は、正直危ないと思いましたが、ここで一歩進まなければいつまで経っても平行線…というわけで、私と子供たち、2匹の犬達皆で退室し、リビングは主人とレイ2人きりになりました。
しばらくし、ハラハラしながらそっとドアのガラス越しから覗いてみると…
まるで別の犬のように、部屋の隅で大人しく座るレイと、その背中を撫でる主人の姿が。
数分間ののち、リビングのドアを開けると、しおらしい表情で、ゆっくりとレイが寄ってきました。
先程までの鬼の形相とは別の犬のようです。
なんと、2人きりになった途端、レイは部屋の隅へ行き、ブルブル震えていたそう。
そして、フローリングに足跡がくっきり付くほど、肉球は汗でしっとり濡れていました。
犬が噛むのには理由がある
レイは、凶暴な犬ではなく、とても怖がりな子だったのだと気付きました。
怖がる理由は分からないものの、とにかく主人が怖くて仕方なくて、なんとか身を守らなくては!と必死だったのです。
噛みたくて噛んでいる訳ではなく、レイにとっては自己防衛のために止むを得ず噛んでいた事が分かりました。
ただ、当然これ以降も、主人が帰宅した時の攻撃性は相変わらず。
そして毎度、いざ2人になるとブルブル震えて肉球は汗びっしょり。
そのくせ私たちが部屋へ戻ると途端に強気になって、また主人へ向かって行く、の繰り返しでした。
ドッグトレーナーさんへ相談に
どうしたらレイの誤解を解けるか、家族ではこれ以上良い案が浮かばず、ドッグトレーナーさんのカウンセリングを受けることにしました。
とても参考になりましたので、以下にまとめました。
ダックスフンドの気質について
まず、ダックスフンドという犬は元々、暗い穴ぐらに入ってアナグマなどを狩る狩猟犬なので、勇敢で攻撃的な気質を持っている事、よく吠えるのは当たり前の犬種である、との事。
「それが君の仕事だもんね、レイちゃん」と言われ、なるほどと気持ちが軽くなりました。
うちへ来て一ヶ月ほどで急に噛みつき行動が出たことについて
ドッグトレーナーさん曰く、我が家に来た当初のレイは、
「僕の居場所はここでいいのかな、ずっとここにいていいのかな」と半信半疑の気持ちでいた。
日が経つにつれ、
「ここが僕のおうち!僕の仲間!」という気持ちが確立してきた。
そこで、家族以外の人間や犬への攻撃性が生まれ、普段触れ合う時間の少ない主人を仲間とは見なさず攻撃する様になったのでしょう、との事。
まさに、私たちに対する忠誠心はものすごいレイ。
仲間意識が強い分、他人に対する攻撃性が表れてしまうのだと感じました。
レイは迷子でセンターに保護された子です。
1匹でうろうろしているところを発見され、それからセンターで約一ヶ月過ごしていました。
それまで自分の居場所がなく一匹狼だった彼にとって、やっと出来た家族と居場所を守ろうとする強い思いが働いたのだと、理解出来ました。
特定の人(主人)に対する攻撃性について
いよいよ本題です。
主人に対する攻撃性、噛みつきをどう直していけばいいのか…私たちが一番知りたいところです。
ドッグトレーナーさんの話では、元々、男性が苦手な犬は多いそうですが、レイの場合は、過去に何か嫌な経験があって、それをふとしたきっかけで思い出し、主人と重ね合わせてしまったのかもしれない、との事。
レイには、人の手を少し怖がるそぶりが見られるそうです。
保護犬で推定10歳のレイちゃんがこれまでどのように生きてきたのかは分からないけれど、この子の脳の中を変えていかなくてはいけないね、と言われました。
レイの場合、吠えたり噛んだりを「ダメ!」と言ってももう矯正は難しい…そこで効果的なツールとして、クリッカーを教えてもらいました。
犬のしつけツール クリッカーとは
犬のしつけトレーニングツール、クリッカーとは、このような手のひらサイズの道具です。
ボタンを押す(クリックする)と、カチッと音が鳴ります。
元々は、イルカトレーニグの方法として使われていたそうですが、このカチッという音を、=「褒めのサイン」として犬のしつけに利用していきます。
クリッカーのメリットは、誰がトレーニングしても、差がないサインを犬に送れる事。
褒める声のトーンは人によって様々です。
特に男性は声が低く、犬によっては恐怖心を覚える場合もあるため、クリッカーの音=褒めのサイン、と認識させれば、誰でも同じように、褒めのサインを犬に伝えられるのです。
まずは、カチッ→おやつ、カチッ→おやつ、をひたすら繰り返します。
ドッグトレーナーさんのお手本の後、主人も早速トライ。
レイ、外では家の中のような攻撃性は見せず、おとなしく主人の手からおやつをもらっていました。
まずは、クリッカーの音=良い事がある(おやつ)という事を、犬の頭にインプットさせていきます。
これを完全に犬が理解する事が出来たら、実際に「噛みつき」や「吠え」などの止めさせたい行動が起こるタイミングに使い応用していきます。
我が家では現在、クリッカーを使用して10日ほど経過しましたが、レイをはじめ犬達は、クリッカーの音=ご褒美と理解してきました。
レイは相変わらず、主人の帰宅時やふとしたタイミングで攻撃モードを見せますが、人間側が怖がるそぶりを決して見せない事、毎日クリッカーでのおやつタイムを作る事、休みの日は主人が散歩に連れ出すなど触れ合いの時間を作る事で、少しずつトレーニングをしています。
クリッカーを使った具体的な犬のしつけ方法や、おすすめのクリッカーはこちらで記事にしています↓

突然噛むようになった保護犬ミニチュアダックスンド まとめ
我が家のレイへのトレーニングはまだ始まったばかりです。
ちょっと慣れてきたかな、と思ったら、ふとしたきっかけで、ものすごい勢いで威嚇する事もありますし、まだまだ一進一退です。
- 毎日必ず、主人とレイ、二人の時間を作る
- 焦らず気長に向き合う
をいつも心に留め、家族で協力して、レイと触れ合って行きたいと思います。
一言で、「犬が噛む」と言っても、その理由は様々です。
ただ1つ言えるのは、噛む犬にも理由がある、という事です。
ミニチュアダックスフンドのレイは、これまでどうやって生きてきたかが分からない保護犬。
ですが、噛むのは恐怖心から、という事が分かったので、その恐怖心を取り除いていく事を第一に、気長に向き合う事が大切だと思います。
今後の経過については、定期的に書いていきます。
↓少しずつですが、距離が近づいてきた二人・・・
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